2022年6月9日更新
国内FXトレーダーなどが海外FX口座を利用し始める決め手の一つがゼロカットなのをご存じでしょうか?
まず、ゼロカットの専門的な解説に入る前に、追証なしのゼロカットがなぜ注目されているのかを簡単に説明しておきましょう。
追証なしのゼロカットは、文字どおり、どんなに巨額の損失を出しても追証を発生させないシステムであるため注目されているのです。
FXでは必ず損失が発生するリスクがあります。
そのため、国内FXと海外FXでは、ロスカット制度という、出資した証拠金以上の損失の発生を防ぐシステムも採用されています。
しかし、たとえロスカット制度があっても口座残高がマイナスとなり、証拠金以上の損失である追証が発生するリスクを完全に回避できません。
特にゼロカットシステムが導入されていない国内FXでは、口座残高がマイナスとなれば必ず追証が発生します。
そのようなことから、海外FXのゼロカットシステムが注目されているのです。
ここからは、ロスカットだけの弱点、国内FXに追証が存在する理由、国内FXのロスカット制度が抱える問題、ゼロカットシステムのメリット・デメリット・リスクなどをより専門的に考察しながら解説するので最後まで読み切ってください。
ロスカットだけの弱点
ロスカット制度とは、取引口座がマイナス残高とならないための安全機能であり、国内FXと海外FXの両方で採用されています。
FX取引では、損失が膨らむと、業者のロスカットルールによって、口座座残高が一定の証拠金維持率を下回るとすべてのポジションが強制決済して取引が終了します。
したがって、ロスカットが正常に稼働してくれれば、口座残高がマイナスになる前に執行されるので「追証=借金」を負うことはあり得ません。
追証とは「追加証拠金」の略称です。FX取引では、含み損が発生しある一定の証拠金維持率を下回ると、下回った分の証拠金を入金する必要があり、そのことを追加証拠金といいます。
ロスカットは追証を防げない
ロスカット制度は顧客保護のために必要不可欠なのですが、100%期待通りに機能してくれるわけではありません。
相場が急変するとロスカットが正常に働かないことがあるからです。
ロスカット決済が間に合わず、ロスカットラインを大幅に割り込み、口座残高が大幅にマイナスになってからやっと強制決済となると「追証=借金」が発生することがあります。
このことがロスカットの弱点であり、「追証」を抱えてしまうと必ずFX業者に資金を支払わなければなりません。
一方、海外FXでは後述するゼロカットが導入されているので「追証」が発生することなく安全に取引ができます。
国内FXに追証があり、ゼロカットがない理由
国内FXで追証が発生する理由、つまり、国内FXで追証なしゼロカットがない理由は、日本の金融商品取引法第39条が「業者による顧客への損失補填を禁止している」からです。
(損失補塡等の禁止)
第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
(一項・二項を省略)
三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為
日本ではこの金商法第39条によって、顧客が証拠金以上の損失を被らないためのロスカットが「機能しない場合」は、顧客側で発生した追証を顧客に負担させることにしています。
もし「損失補填=追証を免除」してしまうとFX業者が損失をすべて負担することになります。
そうなるとFX業者の経営リスクが高まるので、FX業者が破綻でもしてしまうと金融業界を監督している金融庁の面目が丸潰れとなります。
そのため、国内FXでは、金融商品取引法が顧客よりもFX業者を優遇し、ゼロカット制度を導入できないようして、顧客に追証を負わせていると考えられるのです。
国内FXのロスカットはマイナス残高を許している
ロスカット制度のもう一つの弱点は、ロスカット自体が法令ではなく自主規制ルールに基づいて行われている点です。
国内FX業者が加盟している一般社団法人 金融先物取引業協会が定めている自主規制ルールの「リスク管理体制の整備及び業務運営の遂行について」の中で以下が定めています。
監督指針に、通貨関連店頭デリバティブ取引におけるロスカット取引に係るリスク管理体制の整備及び業務運営の遂行についての留意事項として、
顧客の損失が、顧客が預託する証拠金を上回ることがないように、価格変動リスクや流動性リスク等を勘案してロスカット取引を実行する水準を定めているか。※6
ロスカット取引に関する取決めを明確に定めた社内規程等を策定し、顧客との契約に反映しているか。
取引時間中の各時点における顧客のポジションを適切に把握し、上記(1)の水準に抵触した場合には、例外なくロスカット取引を実行しているか。※7
ロスカット取引を実行した状況を、定期的に又は必要に応じて随時に、取締役会等に報告しているか。
の4点が追加されました。※6この項目は、証拠金を上回る損失が発生する可能性を絶対的に排除するものではありません。
※7ロスカット取引を実行する水準と実際にロスカット取引が成立する水準は必ず一致するものではありません。ここでは、顧客の取引が、各社で定めるロスカット取引を実行すべき条件に当てはまった場合に、直ちにロスカット取引を行う手続きをとることが求められています。
- ※6では、証拠金以上の損失の発生を阻止しなくてもよい
- ※7では、業者が定めているロスカット水準と実際に執行されたロスカット水準とが一致しなくてもよい
と言っているわけで、国内FXでのロスカットの規定はマイナス残高の発生を認めているのです。
要するに、ロスカットが遅れてロスカットラインを割り込んでから強制決済してもよい、本来よりも大きな損失が発生し、追証が発生しても構わないというルールとなっています。
つまり、ロスカットが備えている安全機能は不完全なものであり、国内FXでは借金を抱えるリスクがあるのです。
ロスカット未収金(追証)はかなり発生している
ここまででロスカットだけでは追証(ロスカット未収金)を完全に防げない理由を説明しましたが、では、過去にどのくらいの追証が発生したのでしょうか?
ロスカット未収金(追証)は毎月発生していますが、過去に巨額の追証が発生した代表的なイベント相場のデータを以下に紹介しましょう(金融先物取引業協会による集計データ)。
2021/3/22 トルコ中銀総裁更迭ショック | |
追証の件数 | 追証の発生金額(百万円) |
3,458 | 1,381 |
2019/1/3 アップルショック (フラッシュクラッシュ) | |
追証の件数 | 追証の発生金額(百万円) |
6,598 | 943 |
2015/8/24 世界同時株安ショック | |
追証の件数 | 追証の発生金額(百万円) |
4,999 | 919 |
2021/3/22 為替相場変動に係る未収金 | |
追証の件数 | 追証の発生金額(百万円) |
1,229 | 3,388 |
未収金の発生額が大きかったスイスフランショックでは、わずか20分以内に主要通貨ペアが20%~40%も下落しました、以下画像はユーロ/スイスフランの大急変。
スイスフラン/円でも一瞬にして約45円も激変したため巨額の未収金が発生しました。
この時の1人当たりの追証は約280万円、ゼロカットがない取引では、このような巨額の借金を抱えるリスクがあることを認識しておきましょう。
海外FXのゼロカットはロスカットの弱点をカバーできる
国内FXでは金融商品取引法で損失補填が禁止されているのでゼロカットシステムを導入できません。
一方、海外FXではそのような法律がなく、ほとんどの業者が追証なしのゼロカットを導入しています。
ゼロカットシステムとは、為替相場の急変によってロスカットの発動・執行が遅れることでマイナス残高が発生した場合、その損失分を海外FX業者が肩代わりするものです。
相場の激変による偶発的な損失はロスカットで回避することはできないので、ゼロカットは、ロスカットの弱点をカバーしFX取引の安全性を高めるサービスだと理解してください。
ロスカットは国内FX・海外FXともに導入されており、ロスカットだけであれば、どちらでも追証が発生するリスクがありますが、ゼロカットはそもそも損失補填を前提としているので安全なのです。
そのため、ハイレバレッジでハイリスク・ハイリターンの積極的なトレードを行っても、マイナス残高となるリスクがゼロなので安心です。
海外FXが追証をなしにする理由
海外FX業者はなぜ追証をなしにするのでしょうか?
ゼロカットは顧客が借金を負うリスクをなくし、ハイレバレッジで大きな利益を狙う積極果敢な取引ができるメリットがあるだけでなく、FX業者にとっても複数のメリットがあるのです。
海外FXは、国内FXのような相対取引であるDD方式ではないNDD方式を採用しています。
NDD方式では国内FXとは異なり「顧客の利益(損失)=業者の損失(利益)」とならないため、海外FX業者はゼロカットを導入することで以下のメリットを受けられるのです。
- 追証がない安心感から口座開設数と利用者数が増える
- 追証がない安心感から顧客がより多くの取引を行うことでスプレッド収入も増える
- 未払いの追証を回収するための訴訟費用、経営破綻リスクを回避できる
つまり、ゼロカットを採用していれば、顧客にプラスのイメージを持ってもらえるので取引量の拡大等が期待できます。
また、回収できない未収の追証を取り立てるための膨大なコストと手間を省ける、さらに、追証を回収できない場合の経営破綻リスクを回避できるメリットがあります。
このように、ゼロカットがあることにより、顧客側は安心して取引できる、また、業者側は手数料収入を増やし業績拡大を図りながら経営破綻リスクも小さくできるのです。
ゼロカットシステムのメリット
海外FXだけに導入されているゼロカットのメリットはさまざまですが、主に以下の2点があります。
- 追証=借金を負わなくていい
- ハイレバで大きな利益を狙える
追証=借金のリスクがない
ゼロカットの最大の利点は、借金を負うリスクがないことです。
繰り返しになりますが、ロスカットが遅れてマイナス残高になっても追証をFX業者に支払う必要がないからです。
たとえば、口座残高100万円の時に、ロスカットが間に合わず150万円の損失が発生した場合、国内FXでは、口座残高100万円の損失に加えて50万円分の追証が発生し、業者から追証請求を必ず受けることになります。
一方、ゼロカットが導入されている海外FXでは、口座残高100万円以上のマイナス残高の50万円分は免除されて実質の損失は証拠金の100万円だけで済むのです。
このように海外FXでは追証請求そのものが存在せず、より安全な取引環境でトレードすることができます。
ハイレバで大きな利益を狙える
ハイレバレッジ取引できる海外FXでは、少ない資金で大きな取引を行い大きな利益を狙えます。
少ない必要証拠金で取引するとロスカットリスクが高くなると言われていますが、ゼロカットがあるおかげで口座資金以上の損失を負うことがなく、損失が証拠金に限定されます。
たとえば、口座残高が1万円だけの時に、ハイレバトレードで仮に10万円の損失となったとしても、ゼロカットによって損失は1万円に限定されるので、積極的にハイレバで大きな利益を狙うことも可能となります。
つまり、ゼロカットとハイレバレッジ取引は非常に相性がいいと言えるのです。
ゼロカットのデメリット・リスク・罠はある?
損失をなしにしてくれるゼロカット自体にはデメリットはありませんが、あえて指摘すれば以下の3点が挙げられます。
ゼロカットが集客の罠となるリスク
海外FXでは、信頼性の高い業者から低い業者まで数多く存在します。
信頼性の低い業者の中には、ゼロカットを宣伝の道具として、集客の罠として利用しているだけで、実際にはゼロカットを実施していないこともあるので注意が必要です。
たとえば、当サイトが約100社のゼロカットの規約をチェックしたところ、信頼性の低い業者ではゼロカットは導入していても、業者の裁量で実施するしないを決められるようになっていることもあるので注意が必要です。
業者が約束を破って追証請求するリスク
ゼロカットを実施すると海外FX業者は顧客の損失を肩代わりなければなりません。
しかし、過去においてゼロカットの履行を断り追証請求した海外FX業者もありました。
たとえば、かつてのスイスフランショック時には、巨額の追証負担に耐えかねてゼロカットを履行できないとアナウンスした業者もありました。
実際にロスカットを実施した結果、経営破綻したFX業者が数社ありましたし、約束を守らないというよりは守れない状況となればゼロカットしてもらえないリスクはゼロではありません。
このようなリスクに陥らないためにも、ライセンスを取得しいて信頼性・安全性が高い、できるだけ大手の海外FX業者を利用した方が安心でしょう。
口座凍結されてしまうリスク
ゼロカットシステムを悪用した「業者間両建て取引」を行うと口座凍結されるリスクがあります。
具体的には、経済指標発表時などの相場が大きく変動する際に異なる口座間や別の業者間で両建てを行うと大きな利益を得られる可能性があります。
このような取引で一方の口座で追証が発生し、もう片方の口座で利益が出た場合、追証を肩代わりする業者だけが損するため、このような両建てが発覚すると口座が凍結される可能性があるでしょう。
通常、海外FXでは異なる口座間の両建ては禁止されています、両建ては必ず同じ口座内で行うようにしましょう。
ゼロカットの注意点
ゼロカットはボーナスと相殺後に実行される
ゼロカットシステムが適用されるタイミングは、基本的に「口座残高がマイナスとなった場合」に行われます。
ただし、ボーナス残高がある口座の場合は、通常、
- まず、損失分とボーナス残高が相殺される
- それでも口座残高がマイナスである場合にゼロカットが適用される
ということを知っておいてください。
ゼロカットが実行されるタイミングはさまざま
残高がゼロにリセットされるタイミングも業者ごとに異なります。
たとえば、GEMFOREXではゼロカットが適用されると約60分以内にマイナス残高を自動的にゼロにリセットしてくれます。
また、XMTradingでは自動的にゼロにリセットされるのではなく、ポジションをすべて閉じている状態で入金するとマイナス残高がゼロになります、この際の最低入金額は5ドルです。
大分昔ですが、当サイトの編集チームリーダーは、スイスフランショック時にXMで約25万円の追証が発生した際には5,000円だけ入金してリセットしてもらいました。
このように、海外FX業者がゼロカットで残高をゼロに戻してくれる条件が異なるので注意しましょう。
追証なしゼロカットのまとめ
ここまでに解説してきたことを項目にまとめると以下のとおりです。
- ロスカットだけでは追証の発生を完全に防ぐことはできない。
- 金融商品取引法は損失補填を禁止しているため国内FXはゼロカットを導入できない。
- 実際に国内FXでは過去に何度も巨額の追証が発生してきている。
- ゼロカットシステムはロスカットの弱点をカバーするサービス、追証を発生させない。
- よって、ハイレバレッジでも積極的に大きな利益を狙いに行ける
- ただし、信頼性が低い業者や経営・財務基盤がぜい弱な海外FX業者はゼロカットを実施してくれないリスクがある
- ゼロカットがああることで、顧客は安心して安全な取引ができ、業者は効率的に集客でき手数料収入を増やせるメリットがある
ボーナスが充実している業者を活用しよう
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